エンゼルスの2020年は
大方の予想通り、PS進出ならず。
短縮シーズンの影響でポストシーズンの出場チームが拡大しており、久しぶりのPS進出が狙えるシーズンだったが、相変わらず低迷したまま終わる。
今回は、エンゼルスの2020年の振り返りとして、移籍情報と評価をまとめました。
エンゼルス2020年の移籍情報
オフシーズンとシーズン中に分けて移籍情報をまとめました。
オフシーズン【2019-20】
選手 | 守備 | 退団 |
---|---|---|
フリオ・テヘラン | SP・右 | ブレーブス |
ディラン・バンディ | SP・右 | オリオールズ |
マット・アンドリース | RP・右 | Dバックス |
ジェイコブ・バーンズ | RP・右 | ロイヤルズ |
ホビー・ミルナー | RP・左 | レイズ |
ライアン・バクター | RP・左 | アスレチックス |
ジェイソン・カストロ | 捕手 | ツインズ |
アンソニー・レンドーン | 三塁 | ナショナルズ |
選手 | 守備 | 移籍先 |
---|---|---|
トレバー・ケーヒル | SP・右 | ジャイアンツ |
ルイス・ガルシア | RP・右 | レンジャーズ |
ケバン・スミス | 捕手 | レイズ |
ザック・コザート | 内野 | FA |
ジャスティン・ボーア | 一塁 | 阪神 |
コール・カルフーン | 外野 | Dバックス |
退団選手の影響は?
退団選手の中で戦力ダウンと感じるのは19シーズン後半によくマスクを被っていたK.スミスと外野の一角を担っていたカルフーンぐらい。
捕手はカストロを獲得し穴埋めに成功。一方の外野手は元々レギュラークラスが3選手おり、またシーズン中に若手有望株のアデルをデビューさせる方針であったため、特に補強する必要がなかった。
結論としては、退団選手による戦力ダウンはほとんどなかったと考える。
一番優先すべき問題は先発投手
補強として一番優先すべき問題は先発投手。特にエースの獲得は必須だったのだが、またもや大失敗。とりあえずローテを埋めるためにテヘランとバンディを獲得。
補強の結果として、バンディの獲得は大成功となりローテの柱として機能した。一方で、テヘランは期待外れと、先発陣の強化は一進一退に終わった。
FA市場の目玉、レンドーンを獲得
エースの獲得失敗により残った大金でFA市場の目玉、レンドーンを獲得。脆弱だった三塁と打線、両方の大幅な戦力アップに成功した。
肝心の成績についてはシーズン当初こそ不調に陥っていたものの、調子が上向いてからは期待通りの活躍。終わってみれば本塁打9本やOPS.915などトラウトに次ぐ成績と、初年度はまずまずの数字を残した。
シーズン中
選手 | 守備 | 退団 |
---|---|---|
ジェラルド・レイエス | RP・右 | パドレス |
フランクリン・バレト | 二塁 | アスレチックス |
選手 | 守備 | 移籍先 |
---|---|---|
ライアン・バクター | RP・左 | ヤンキースm |
ジェイソン・カストロ | 捕手 | パドレス |
トミー・ラステラ | 二塁 | アスレチックス |
ブライアン・グッドウィン | 外野 | レッズ |
PS進出を諦め、主力放出
シーズン序盤から黒星が先行し、早々にPS進出は黄色信号。トレード市場では更なる戦力アップを狙わず、主力の放出を決断。カストロ、ラステラ、グッドウィンをトレードで放出した。
カストロとラステラはオフにFAとなるため、彼らの放出については納得できる。一方で、グッドウィンはまだ後2年の保有権があるため、放出は少し意外に感じた。アデルのデビューにより余剰戦力となる可能性があることや調停権により年俸が上がることなどを考慮した結果、高値が付くうちに売り払おうという狙いだと推測する。
バンディは残す
今シーズンは再建モードに入ったが、完全に再建期というわけではなさそう。その証拠にトレード市場で多くの注目を集めていたバンディは売らず。バンディの保有権は来季まであり、来季はまた勝負をかけるというチームの意思が見える動きだった。
エンゼルス2020年のチーム成績
順位と打撃成績、投手成績に分けて評価していきます。
チーム順位
順位 | チーム | 勝率 | ゲーム差 |
---|---|---|---|
1 | アスレチックス | .600 | |
2 | アストロズ | .483 | 7 |
3 | マリナーズ | .450 | 9 |
4 | エンゼルス | .433 | 10 |
5 | レンジャーズ | .367 | 14 |
アスレチックスやアストロズより下になるのは予想通りだったが、マリナーズに微差でも上を行かれたのは完全に予想外。短いシーズンとはいえ再建期真っ只中のチームに負けるのはちょっと不味い。一応チームは勝負態勢のシーズンだっただけに、悔しいシーズンとなった。
打撃成績
選手 | 打数 | 打率 | HR | OPS |
---|---|---|---|---|
フレッチャー | 207 | .319 | 3 | .801 |
トラウト | 199 | .281 | 17 | .993 |
レンドーン | 189 | .286 | 9 | .915 |
大谷翔平 | 153 | .190 | 7 | .657 |
プホルス | 152 | .224 | 6 | .665 |
アップトン | 147 | .204 | 9 | .711 |
アデル | 124 | .161 | 3 | .478 |
シモンズ | 118 | .297 | 0 | .702 |
ウォルシュ | 99 | .293 | 9 | .971 |
スタッシ | 90 | .278 | 7 | .886 |
チーム全体の打率は.248でMLB13位、本塁打数は85本で10位。
3選手とそれ以外
トラウトは流石、レンドーンは及第点、そして若手ながらフレッチャーの安定感は立派。この3打者を見たらエンゼルス打線行けるじゃんと思うかもしれないが、問題はそれ以外の打者。
プホルスとアップトンの高給取り&ベテランコンビは相変わらずコスパの悪いパフォーマンス。そして、肝心の打者・大谷は本塁打以外見れたものではない成績。
また、球団有望株1位としてかなり期待されていたアデルに至ってはどの数字も悲惨なもの。アクーニャやタティースレベルは流石に求めていなかったが、もう少し出来ると思っていたのだが。
来季への期待株
悪い点ばかりでなく良い点もあったということで、来季への希望になりそうな打者を2人紹介しておきましょう。
1人目はウォルシュ。
元々は二刀流選手として期待されていたが、今季は打者に専念。シーズン序盤こそ目立った成績を残せなかったが、終盤の9月に9本塁打と大暴れ。OPSも見事9割を超える大活躍だった。ただ、ポジションが一塁なので、どうしてもプホルスや大谷と起用が被ってしまうのが勿体ない。将来的には外野にコンバートできればかなり大きいと思うのだが。
2人目はスタッシ。
彼は今年で29歳と別に若いわけではないが、捕手ということでチョイス。併用や故障などで出場機会が限られていた割には、7本塁打などなかなか良い成績を残した。捕手は補強ポイントの1つとなっているが、彼がある程度計算できるのであれば少しランクの低い捕手で妥協するのもアリか。他に優先したいポイントがあるだけに、彼の今季をどう評価するかは結構重要な問題だと思う。
投手成績
※テヘランまでが主に先発を務めた投手、それから下は主にリリーフを務めた投手となっています。
選手 | 登板 | 投球回 | 防御率 | WHIP |
---|---|---|---|---|
ヒーニー | 12 | 66.2 | 4.46 | 1.23 |
バンディ | 11 | 65.2 | 3.29 | 1.04 |
キャニング | 11 | 56.1 | 3.99 | 1.37 |
サンドバル | 9 | 36.2 | 5.65 | 1.34 |
バリア | 7 | 32.1 | 3.62 | 1.11 |
テヘラン | 10 | 31.1 | 10.05 | 1.76 |
マイヤーズ | 29 | 30 | 2.10 | 0.90 |
ペーニャ | 25 | 26.2 | 4.05 | 1.31 |
バトリー | 27 | 26.1 | 5.81 | 1.41 |
N.ラミレス | 21 | 21 | 3.00 | 1.14 |
ロブレス | 18 | 16.2 | 10.26 | 1.74 |
チーム全体の防御率は5.09でMLB25位、先発防御率は5.51で29位、リリーフ防御率は4.63で21位。
先発陣の評価
やはりバンディの好成績に目が行き、エンゼルスにとってはエース級の活躍。彼に次ぐヒーニーも防御率にやや不満を覚えるものの、安定した成績を残している。また、キャニングとバリアの若手コンビも及第点の成績は残す。
ただ、問題はここから。若手のサンドバル、新加入のテヘランはともに悲惨な成績。上記の4先発がまずまずの数字を残しながらも、チーム全体で低い成績となっているのはこの2投手が原因。また、期待されていた投手・大谷はシーズン早々に故障でリタイア。幸いにも靭帯再損傷ではなかったものの、またもや肘の故障と来季以降に不安の残す結果に。
バンディ、ヒーニー、キャニング、バリア、そして大谷と一応5人のローテ投手は揃っているが、安定した成績を期待できるのはヒーニーのみと言って良いだろう。後半の2投手に関してはどれだけイニング数を稼げるか怪しい状況。やはり今オフも先発投手の獲得が急務と感じる。
リリーフ陣の評価
先発より全体の数字はマシだが、信頼できる投手はほとんどいないと言って良いだろう。兎にも角にもロブレンの絶不調が痛く、最後まで抑えを固定できなかった。
シーズン終盤やPSではリリーフ陣の層の厚さが物を言ってくるため、この陣容では頼りなさ過ぎる。個々の投手を見ていくと、先発よりもリリーフの方が問題を抱えているように感じる。
総括
2019年にトラウトと大型契約を結んだこともあり、今後数年は勝負をかけなければいけない状況。にも関わらず、補強や育成がなかなか上手くいかず、上位チームとの戦力差は大きい。エップラーGMがクビとなったのも納得だろう。一方で、今季から指揮を執る名将・マッドン監督の采配がチームにフィットしているのかは、短いシーズンだったこともありまだ判断しづらいだろう。
まずはまともな補強を積んでいかなければ、上位と良い争いができない。資金力はある程度有しているにも関わらず、その使い方が下手過ぎるため非常に惜しいチームとなっている。