中日ドラゴンズ2024オフの補強情報をまとめました!
前半に移籍情報、後半に補強評価の2部構成となっています。
※「【ドラゴンズ】2024-25オフの補強ポイント」に補強ポイントをまとめているので、こちらも併せて見てもらえたら嬉しいです。
移籍情報
現在の支配下選手は64名。
- SP、RP、Pは左投
- 年齢は25年3月31日時点のもの
補強選手
選手 | 守備 | 年齢 | 補強情報 |
---|---|---|---|
カイル・マラー | SP | 27歳 | 新外国人 |
金丸夢斗 | SP | 22歳 | ドラフト1位 |
吉田聖弥 | SP | 22歳 | ドラフト2位 |
伊藤茉央 | RP | 24歳 | 現役ドラフト |
有馬恵叶 | P | 18歳 | ドラフト6位 |
高橋幸佑 | P | 18歳 | ドラフト5位 |
石伊雄太 | C | 24歳 | ドラフト4位 |
ジェーソン・ボスラー | 1B | 31歳 | 新外国人 |
森駿太 | IF | 18歳 | ドラフト3位 |
育成契約 | |||
三浦瑞樹 | SP | 25歳 | 戦力外からピック |
ランディ・マルティネス | SP | 21歳 | 育成外国人 |
井上剣也 | P | 18歳 | 育成ドラフト2位 |
中村奈一輝 | SS | 18歳 | 育成ドラフト1位 |
退団選手
選手 | 守備 | 年齢 | 退団情報 |
---|---|---|---|
小笠原慎之介 | SP | 27歳 | ポスティング |
上田洸太朗 | SP | 22歳 | 戦力外 |
マルティネス | RP | 28歳 | 自由契約 |
田島慎二 | RP | 35歳 | 引退 |
フェリス | RP | 31歳 | 自由契約 |
砂田毅樹 | RP | 29歳 | 引退 |
石森大誠 | RP | 27歳 | 戦力外 |
福島章太 | RP | 22歳 | 戦力外 |
ビシエド | 1B | 36歳 | 自由契約 |
中島宏之 | 1B | 42歳 | 自由契約 |
石垣雅海 | IF | 26歳 | 現役ドラフト |
ディカーソン | OF | 34歳 | 自由契約 |
加藤翔平 | OF | 34歳 | 引退 |
三好大倫 | OF | 27歳 | 戦力外 |
育成選手 | |||
竹内龍臣 | RP | 23歳 | 戦力外 |
加藤翼 | RP | 22歳 | 戦力外 |
アルバレス | RP | 26歳 | 戦力外 |
垣越建伸 | RP | 24歳 | 戦力外 |
育成選手関連
以下の支配下選手とは自由契約後に育成で再契約。
- 加藤竜馬 (OF/25歳):投手から野手に転向
投手補強の評価
金丸夢斗 & 吉田聖弥
※今記事では即戦力寄りの指名選手に絞って見ていきます。高校生を含む全体の評価については「【ドラフト】2024年の指名結果と評価」をご覧ください。
【金丸夢斗の紹介】
- 完成度は歴代屈指の先発左腕
- 腰痛の影響だけが唯一の懸念
【吉田聖弥の紹介】
- チェンジアップが武器の先発左腕
- 社会人出身も素材型寄りとの印象
金丸を競合の末引き当てた後、2位では外れ1位でリストアップしていた吉田の指名にも成功。先発補強が待ったなしと追い込まれた状況の中、ドラフトで出来る限りの最高の先発補強を果たせました。
まずは金丸から触れますが、彼については良い意味で語るところがない逸材です。球威、変化球、制球、何れも文句なしと、過去の大学生投手たちと比べても、屈指の完成度を誇ります。健康さえ保てれば、必ずやってくれる投手だと確信しています。だからこそ、春に患った腰痛の影響が心配され、その予後次第で25年は試運転で止めておく選択肢もあるでしょう。
一方の吉田は評価に迷う部分も。決め球のチェンジアップには高評価を下せますが、速球やスライダーはまだまだといった具合なので、即戦力としてはあまり期待できない印象です。ただ、高卒4年目で大卒と同い年であるため、彼も今後の伸び代は十分。当面は2軍で爪を研いでもらい、有望株としての地位確立を期待したいです。
カイル・マラー
ドラフトで最高の先発補強を果たせたとは言っても、いきなり1軍でバンバン投げさす時代でもないため、やはり助っ人のイニングイーターは必須でした。
【24年の投球成績 (MLB)】
投球回 49.1、防御率 4.01、WHIP 1.18
K% 17.8%、BB% 5%、K-BB% 12.9%
【〃 (AAA)】
投球回 25.1、防御率 4.62、WHIP 1.22
K% 17.8%、BB% 7.5%、K-BB% 10.3%
23年までは201cmの長身を活かせない中途半端な投球を見せていましたが、今季は腕のアングルを上げた結果、BB%が大幅に改善。K%は依然物足りない水準ですが、このBB%を日本でも再現できれば、最低限イニングイーターとして期待が持てる投手になれそうです。
イメージとしては巨人のグリフィンに近く、彼のように主力級の先発になれる潜在能力は秘めていると見ています。ただ、BB%や4シームの指標が改善された一方、メイン武器であるスライダーを始め変化球は未だ不安定さを抱える状態。また、今季上げた腕のアングルもまだしっくり来ていない印象を受けるため、適切なアングルを見付け制御可能な変化球を増やせるかが、活躍度合いの鍵を握るでしょう。
補強の評価
外国人先発市場でKBO勢に押され気味の中、彼らが手の届かないレベルの投手を連れてきたのはお見事。しかも、絶対必須だったイニングイート力だけでなく、エースポテンシャルも秘めた投手なのは、珍しく球団が頑張ったと評価したいです。
ただ、MLBで伸び悩んでいた背景は無視できず、未だ自分の投球を確立できていません。今季の投球を再現するにしろ、エースポテンシャルを引き出すにしろ、球団側からのアシストは当然必須であり、投手の改善力が大いに問われる案件だと注目しています。
まとめ
投手補強を踏まえた開幕時のデプスチャートを予想しました。
先発ローテ | ブルペン陣 | ||
---|---|---|---|
SP1 | 髙橋宏斗 | CL | 松山晋也 |
SP2 | マラー* | SU | 清水達也 |
SP3 | 梅津晃大 | SU | ??? |
SP4 | 涌井秀章 | MID | 藤嶋健人 |
SP5 | 松葉貴大* | MID | 齋藤綱記* |
SP6 | 松木平優太 | MID | 勝野昌慶 |
(SP7) | 柳裕也 | MID | 橋本侑樹* |
(SP8) | 金丸夢斗* | LR | ??? |
※「*」が末尾に付く投手は左投。
※太字の選手は新加入。
先発陣
先発陣の脆弱性が露呈したのに加え、小笠原のポスティングや福谷の去就問題も重なり、かなり見通しの暗い先発陣となっていましたが、金丸やマラーらの補強で幾分か明るさを取り戻したように感じます。
柳ら実績組の復調や仲地ら若手の戦力化など、課題は依然多いのですが、1年後には様変わりした未来も思い描ける、楽しみな要素が増えたのは紛れもない事実です。補強でやるべきことはやったと評価できるので、後はどう料理するかにかかってくるでしょう。
ブルペン陣
ライデル退団は確かに痛いですが、松山&清水とトップ級のリリーバーがまだ2枚いることを忘れること勿れ。ここに新外国人リリーバー補強と勝野の復調辺りが合わされば、指標上はそこまで落ち込まないのではと期待しています。
ただ、ブルペン補強には新外国人1枚と現役ドラフトの伊藤茉央しか回せなかったので、枚数に関しては一抹の不安も。新たな問題が起きないことを祈りつつ、ベテランの復調や下位リリーバーの底上げなどで、安心感を取り戻せれば良いのですが。
野手補強の評価
石伊雄太
【石伊雄太の紹介】
- 大学時代から捕手守備に定評
- 課題の打撃も社会人で成長
今ドラフトで即戦力寄りの期待を抱ける捕手は石伊しか見当たらず、ある意味金丸よりもドラゴンズに欲しかった選手でした。しかも、その貴重な存在を4位指名まで我慢したのは、見事な戦略だったと称賛するしかないです。
石橋以下の若手たちは何れも安心できる捕手守備を見せられていないため、まずは大学時代から持ち味である守備面でアピールして欲しいところ。一方、課題の打撃については社会人で一定のコンタクト力や長打力を示せており、プロでも無難な打力に落ち着く可能性は秘めていると思います。
ジェーソン・ボスラー
打線のバリエーションを増やすために、左の強打者が欲しかったところであり、そのニーズは満たす補強が出来ました。
【24年の打撃成績 (MLB)】
打席 30、打率 .179、HR 0本
K% 30%、BB% 6.7%、OPS .519
【〃 (AAA)】
打席 524、打率 .303、HR 31本
K% 21.6%、BB% 8.8%、OPS .944
俗に言う4Aレベルの打者であり、打球に角度をつけることで、長打を増やしていくスタイル。左の長距離砲だけでなくフライボールヒッターなのも、ドラゴンズには少ないタイプだと言えます。
一方、弱点は変化球や左投手への対応、打てる箇所が限定的など、明確なものが多数見受けられます。また、アッパースインガーと低めの投球が徹底できるNPB、フライボールヒッターと長打が出にくいバンテリンドーム、何れの相性も最悪に近い印象を受けるため、コア打者として期待するのはかなり難しいでしょう。
ただ、好きなゾーンに残った球は高確率で長打にしてくれるので、如何にそうした投球を誘導できるかがカギに。合う合わないがはっきりしている打者なので、適切なタイミングでの起用が求められます。
補強の評価
左の強打者というニーズは満たしており、フライボールの増量という課題から逃げなかった点は評価したいところ。がしかし、弱点の多さやNPBとの相性を踏まえると、コンスタントな活躍は期待できそうにないのが率直な意見です。
一塁や外野を守れるUT性の備えを、井上監督自身が希望していたようなので、ある程度流動的な起用を見込んでの獲得だとは思います。また、上記で触れたように、相性が良い投手には長打量産が期待できるので、そこの見極めが重要であり、生かすも殺すも井上監督の手腕次第と言えるかもしれません。
まとめ
野手補強を踏まえた開幕時のデプスチャートを予想しました。
守備 | 主力 | 控え |
---|---|---|
C | 木下拓哉 | 宇佐見真吾* |
1B | 中田翔 | ボスラー* |
2B | 福永裕基 | 田中幹也 |
3B | 石川昂弥 | 高橋周平* |
SS | 村松開人* | 田中幹也 |
LF | ボスラー* | カリステ |
CF | 岡林勇希* | 尾田剛樹* |
RF | 細川成也 | 板山祐太郎* |
※「*」が末尾に付く打者は左打、「#」は両打。
※太字の選手は新加入。
福永の二塁再挑戦について
補強とは話が逸れますが、福永の二塁再挑戦は触れておく必要がある話題でしょう。福永が二塁に収まってくれれば、打撃型の選手をもう1枚スタメンに加えられるので、ここの成否は打線の上積みに大きく関与してきます。実際に成功するかはまだ分かりませんが、リターンの大きさを考えれば、とても有意義な挑戦だと思います。
補強を受けて
ボスラーについては補強の評価で述べたように、新たなオプションが1つ増えた程度の認識でいた方が良さそう。結局は、中田の復調、石川やブライトの成長など、既存打者陣の奮起が必須な状況に変わりはありません。
とは言え、福永や村松の台頭で、主力陣の選定も大分見通しが付いてきました。また、大きな弱点だった捕手は木下の残留と石伊の加入により、プラスを取り戻せる可能性は残っています。間違いなくメンバーは揃いつつあるので、貧打からの脱却はもう間近と期待したい頃合いです。