阪神タイガース2024オフの補強情報をまとめました!
前半に移籍情報、後半に補強評価の2部構成となっています。
※「【阪神】2024-25オフの補強ポイント」に補強ポイントをまとめているので、こちらも併せて見てもらえたら嬉しいです。
移籍情報
現在の支配下選手は66名。
- SP、RPは左投
- 年齢は25年3月31日時点のもの
補強選手
選手 | 守備 | 年齢 | 補強情報 |
---|---|---|---|
ジョン・デュプランティエ | SP | 30歳 | 新外国人 |
木下里都 | SP | 24歳 | ドラフト3位 |
伊原陵人 | SP | 24歳 | ドラフト1位 |
ニック・ネルソン | RP | 29歳 | 新外国人 |
畠世周 | RP | 30歳 | 現役ドラフト |
今朝丸裕喜 | P | 18歳 | ドラフト2位 |
町田隼乙 | C | 21歳 | ドラフト4位 |
ラモン・ヘルナンデス | 1B | 29歳 | 新外国人 |
佐野大陽 | SS | 23歳 | ドラフト5位 |
楠本泰史 | OF | 29歳 | 戦力外からピック |
育成契約 | |||
工藤泰成 | SP | 23歳 | 育成ドラフト1位 |
早川太貴 | SP | 25歳 | 育成ドラフト3位 |
嶋村麟士朗 | C | 21歳 | 育成ドラフト2位 |
川﨑俊哲 | SS | 23歳 | 育成ドラフト4位 |
ジーン・アルナエス | IF | 22歳 | 育成外国人 |
スタンリー・コンスエグラ | OF | 24歳 | 育成外国人 |
退団選手
選手 | 守備 | 年齢 | 退団情報 |
---|---|---|---|
青柳晃洋 | SP | 31歳 | ポスティング |
秋山拓巳 | SP | 33歳 | 引退 |
加治屋蓮 | RP | 33歳 | 戦力外 |
浜地真澄 | RP | 26歳 | 現役ドラフト |
岩田将貴 | RP | 26歳 | 戦力外 |
片山雄哉 | C | 30歳 | 戦力外 |
遠藤成 | IF | 23歳 | 戦力外 |
ノイジー | OF | 30歳 | 自由契約 |
ミエセス | OF | 29歳 | 自由契約 |
髙濱祐仁 | OF | 28歳 | 戦力外 |
育成選手関連
以下の支配下選手とは自由契約後に育成で再契約。
- 森木大智 (P/21歳)
- 鈴木勇斗 (RP/25歳)
投手補強の評価
伊原陵人 & 木下里都
※今記事では即戦力寄りの指名選手に絞って見ていきます。高校生を含む全体の評価については「【ドラフト】2024年の指名結果と評価」をご覧ください。
【伊原陵人の紹介】
- 引き出しの多さが売りの先発左腕
- 球威が増し中継ぎでも期待可能
【木下里都の紹介】
- 社会人屈指の右の剛腕
- 打球管理や制球面が優秀
ここでは取り上げていない今朝丸も含め、上位3枠を投手に費やす。投手陣の指標自体はまだ良好な部類に入っていますが、青柳のポスティング問題や若手の伸び悩みにより、枚数には若干の不安を抱えていたため、まずはドラフトで補充した形となりました。
伊原は引き出しの多さ、木下は打球管理が売りとなっており、ともに制球力も優れていることから、当面は先発で期待したい両投手です。ただ、2投手とも球威を有しているため、リリーフでの起用も視野に入れられます。この辺りは既存投手陣との兼ね合いとなるでしょうか。
ジョン・デュプランティエ
【24年の投球成績 (マイナー)】
投球回 55.2、防御率 4.20、WHIP 1.60
K% 27.4%、BB% 16.1%、K-BB% 11.3%
MLBに復帰するどころか、AAAでも満足のいく成績を残せないシーズンが続いていましたが、昨夏にドジャースとマイナー契約を結んだのが1つの契機に。依然として制球難への懸念は抱えていますが、持ち味だった奪三振力に大きな改善が見られています。
活躍の鍵を握るのは4シーム。三振と四球が両方とも多いように、制球面が課題に挙がる球種ですが、打球管理に優れているのは面白いところ。また、変化球も制球面の怪しさを有しながら、4シームとは異なりBB%が小さいのを見ると、やはり相手打者も4シームを強く意識させられていることが窺えます。よって、4シームさえもう少し制御できれば、大化けも期待できると見ています。
補強の評価
ビーズリーの耐久面も踏まえ、外国人先発の保険枠が欲しかったところであり、それと同時にリリーフへの可能性を秘めているのも好印象。制球面の粗さを考えると、戦力化に向けては困難を極めるかもしれませんが、色々と都合の良い賭けだと思います。
ニック・ネルソン
【24年の投球成績 (MLB)】
投球回 5.1、防御率 5.06、WHIP 1.88
K% 30.8%、BB% 7.7%、K-BB% 23.1%
【24年の投球成績 (AAA)】
投球回 54.1、防御率 6.13、WHIP 1.49
K% 18%、BB% 11%、K-BB% 6.9%
22年に44登板を果たしたものの、ここ数年はマイナー暮らしが大半を占める状態。23年に先発挑戦を試みたのが逆に仇となり、その後はピッチ構成を少し変えるなどもがいてはいますが、トンネルから抜け出せないのが現状です。
活躍の鍵を握るのはまたもや4シーム。ただ、制球だけが課題だったデュプランティエとは異なり、こちらは単純にクオリティ不足。そのため、割合を減らしたりシンカーを導入したりと、最近では4シームに拘らない路線も見せ始めています。また、スライダーを筆頭に決め球が複数あり、近年では珍しいナックルボールも時折投げるなど、変化球の引き出しは有しているため、思い切って4シームを捨てるのも1つの手となるでしょう。この辺りは阪神の投手改造の見せ所であり、どのように仕上げるのか注目したいです。
補強の評価
スライダーを主体にしたリリーバーとすれば、ある程度の計算は出来そうな印象を受けますが、対左に弱点を抱えるなど、器用貧乏に陥る危険性も。とは言え、最近の阪神の外国人投手が器用貧乏で終わった記憶がほとんど無いため、何かしらの形には仕上げられるのではと期待しています。
まとめ
投手補強を踏まえた開幕時のデプスチャートを予想しました。
先発ローテ | ブルペン陣 | ||
---|---|---|---|
SP1 | 才木浩人 | CL | 岩崎優* |
SP2 | 村上頌樹 | SU | ゲラ |
SP3 | 大竹耕太郎* | SU | 桐敷拓馬* |
SP4 | 西勇輝 | MID | 石井大智 |
SP5 | ビーズリー | MID | ネルソン |
SP6 | 伊藤将司* | MID | 岡留英貴 |
(SP7) | デュプランティエ | MID | 漆原大晟 |
(SP8) | 伊原陵人* | LR | 及川雅貴* |
※「*」が末尾に付く投手は左投。
※太字の選手は新加入。
※髙橋遥人*は出遅れとなる予定。
ドラフトで大社投手を2枚指名(ちなみに、育成では2軍球団や独立から更に2枚追加)し、新外国人投手も2枚補強したため、密かに抱えていた枚数への懸念は、ほとんど払拭されたと言っても良いでしょう。
後は主力投手を誰で固めて行くかであり、伊藤将の復調や新外国人の戦力化、若手の成長など、不確実な要素は多いですが、そこはちゃんとまとめ上げてくるのが阪神の長所。むしろ、ここに絶対的な強みを有しているので、補強のリソースをもう少し将来性や野手に回せば良いのにとすら思ってしまいます。
野手補強の評価
町田隼乙 & 佐野大陽
【町田隼乙の紹介】
- 独立屈指の捕手
- 広角に飛ばせる打撃も持ち味
【佐野大陽の紹介】
- 堅実な守備が売りのショート
- 打撃は巧打や出塁能力に期待
二遊間や捕手とセンターラインが補強ポイントに挙がっており、そのニーズを満たす野手指名は出来ました。ただ、個人的にはやはり物足りさも抱いてしまいます。
捕手の町田に関しては納得できる人選。捕手候補が不足していた中、打撃の可能性も残す独立屈指の捕手を確保できたのは上出来でしょう。捕手のオプションを増やすという肝心の目的も、十分に果たせられたと思います。
一方、問題は二遊間の方。最初の入札で宗山に行かなかった点を切り離しても、まだ疑問が多いです。佐野は堅実な守備や出塁能力が期待されますが、山田脩也ら近年の高卒組と被る部分も多く、似た選手が1人増えただけとの印象に。片や、宗山以外にも違いを作れる二遊間候補は複数いただけに、そこを全スルーした選択は残念でした。
ラモン・ヘルナンデス
【24年の打撃成績 (MEX)】
打席 364、打率 .313、HR 22本
K% 19.8%、BB% 6.9%、OPS .945
MLB経験は無いものの、メキシカンLやドミニカWLで結果を残し続けている強打者。メキシカンLは42歳のロビンソン・カノーや元ロッテのレオネス・マーティンが未だにOPS 1.000以上を記録できる打強環境なので、メキシコでの成績をそのまま鵜呑みには出来ませんが、確かな打力は有していると言えるでしょう。
大山の残留により、内外野のコーナーが全部埋まっているため、期待されるのは元巨人のアダム・ウォーカーのような打力のオプションとなる働き。ウォーカーほど長打力は突き抜けていない印象を受けますが、その分巧打面に多少の強みを感じるので、新たなオプションとなる可能性は十分秘めています。
補強の評価
大山の去就が不透明な時はケストン・ヒウラ、またヘルナンデスがWLで故障した関係でデルミス・ガルシアといった名前も挙がっていましたが、最終的にはヘルナンデスを選んだ形に。上記で触れたように、求められるのは主力級ではなくオプションレベルの働きなのを踏まえると、使い勝手などが丁度良い選手を補強できたと思います。
まとめ
野手補強を踏まえた開幕時のデプスチャートを予想しました。
守備 | 主力 | 控え |
---|---|---|
C | 梅野隆太郎 | 坂本誠志郎 |
1B | 大山悠輔 | ヘルナンデス |
2B | 中野拓夢* | 小幡竜平* |
3B | 佐藤輝明* | ヘルナンデス |
SS | 木浪聖也* | 小幡竜平* |
LF | 前川右京* | 井上広大 |
CF | 近本光司* | 島田海吏* |
RF | 森下翔太 | 井上広大 |
※「*」が末尾に付く打者は左打、「#」は両打。
※太字の選手は新加入。
ドラフトの展開次第では、今後数年は阪神の時代だとの空気が出来上がった可能性もあっただけに、改めて勿体なさを感じます。大山の残留に成功したことで戦力はキープされているため、ここに中野の復調や前川、井上の更なる成長などが加われば、杞憂に終わる話かもしれません。がしかし、この詰めの甘さ、あるいは保守的とも言うべき部分はやはり気になります。